春を探して    その1           次ページ 
ニセコの冬は、長い。
暦が、立春(2月の上旬)を迎えても、まだまだ、真冬のまっただかな。
啓蟄(二十四気の一つ。陽暦の3月5日前後)なんかも、「世界がちがうぜ〜」、と言っていい。
3月も中旬になると、春めいた日が、気まぐれにやってきて、、真っ青な青空が、広がったりする。
 日頃の、憂鬱な気分をはらすように、待ってたとばかり、陽の光に向かって飛び出していく。
 今年は、まれにみる大雪の年。
 いつもなら、降雪が終わる、3月末にも、しっかり降ってくれたし、4月に入っても30cm以上は、積もっただろうか?
 4月上旬に、雪の始末をしていて、”今年ほど待ちこがれた、春の訪れ”について、しみじみ考えた。
 
 ニセコでは、これからの残雪期、そして迎える初春に、すばらしい自然のドラマがある。
 この時期は、僕たちにとって、一番、静かな時期。     一番、好きな季節なんだ。
雪の中に春を見つける
 4月上旬に、雪の中からとってきた ヤチブキが、胸に焼き付いている。
 クロスカントリーのスキーで、普段は、笹藪に覆われて行くことのできない、沢のほとりまで、行ってみる。雪の中の沢筋に、黄色いヤチブキが、春の日だまりに、輝いていた。
 持って帰ってきた、花と葉を、窓辺にいける。窓の外は、まだまだ、たくさんの雪。
 今年、初めてとってきた、野草が、室内を飾り、暮らしの中に春を告げてくれる。
 
 春の到来を、このまぶしい、黄色が伝えてくる。
ニセコの町から、山麓に向かう道々66号線「ニセコパノラマライン」に架かった、「ニセコ大橋」の大きな吊り橋のアーチも、このヤチブキをイメージして、黄色になったとか。

 ニセコみたいに、雪深い土地では、春の到来が、待ち遠しい。水の流れるあたりから、冬は解けて流れて、春は、やってくる。
   春の先駆け、川沿いの植物の開花が、春を運んでくる。

 しかし、時には、街から、沢に沿いに、上ってくる間に、天候が崩れ、雪が降り出したりして、遅々として遠のくこともある。今年みたいに、、、 
ヤチブキ= 本名 エゾノリュウキンカ(蝦夷立金花) ヤチブキは、沢の流れのに沿って、鮮やかな、黄色い花を咲かせ、北国に春を告げる。
 花茎が直立し黄金色の花を付けることから名付けられている。花弁のように見えているのは、ガク片である。
 ヤチブキの花を見て、さすがニセコですね、「こんなに手の届くところに、はえているなんて!」と感心された。
 街では、どんどん採られて無くなっているとか。山菜として、とっていくのかな?
ミルキーハウスのできた、25年前には、道脇の沢筋の至る所、黄色で、埋め尽くされたような気がする。ニセコでもずいぶん少なくなったなとも思う。
 雪解けを待たずに顔を出す、ふきのとうは、春の使者。一番早くでてくる山菜です。独特の香りとほろ苦さが春の息吹を感じさせます。
  「春の皿には苦味を盛れ」と言います。 冬の間にたまった脂肪を流し、味覚を刺激して気分を引き締めて一年の活動をスタートさせます。 冬眠から目覚めた熊は、最初にフキノトウを食べるとか
 北海道のフキは、アキタブキ。 フキノトウは、フキのつぼみで、雄株(雄花)と雌株(雌花)があります。
 雌株は花の咲いた後大きくなり高さ40〜70cmになり果実は、タンポポみたいな、綿毛状のそう果になって、空を飛んで広がっていく
 1年もうち、たぶん、初めて口にする自然の食べ物がふきのとう。
 雪の中で、初めて見つけたときの感激は、深くって、毎日、家族の夕食に登場する。天ぷら、ふきのとうみそ、、、ほんとに、生つばが出てきそう。

ふきのとう(蕗の薹)

川沿いの林道を散策して、春の花を探す
福寿草(フクジュソウ) 福寿草は、ニセコには、数少なく滅多にみれない。 道から外れた、藪の中ににたいに、隠れたところで群生している。盗掘が多いので、人目に触れるところでは、みられなくなった。
 かえって、ほとんどの家の庭先に、大切に植えられていたりする。
 太陽に向けられた、パラボラアンテナのような黄色い花が印象的で、1つ見つけたら、近くに群生する。
 光や温度に非常に敏感で、昼間でも日が、さえぎられると、1〜2分で花がしぼみ、再び日が当たると、いつの間にか花が開く。 寒い時期に咲くので、花の中の温度を下げないための工夫をしているらしい。  
 寿草の 名前も、「福寿(幸福と長寿)」の意。よく盆栽にして正月に開花させたりする、おめでたい花として日本の生活にとけ込んでいる。
 注意したいのは、根に毒があり間違って食用にすると危険。薬用として心臓病の薬とされる。
花が終わる頃、人参(にんじん)の葉のような、こまかい葉が出てきて一面に広がる
湿地、湿原に咲く早春の、さきがけ
 4月の雪解けでできた、湿地に水芭蕉の群生が、きれいだ。
 尾瀬湿原の水芭蕉が有名だが、北海道では、平地で、どこにでもみられる。
 サトイモ科多年草。 花びらのような白いモノは、実際は葉が変形した物(仏炎苞;ぶつえんほう)。  仏炎苞の中央にある円柱状の部分の表面に小さな花が多数ついている。ミズバショウには花びらはない。 花が終わった後、本格的に葉を伸ばし始める。花を咲かせる株ならば、最低でも30cm、大きな株であれば1m近い大きな葉を広げる。
葉が芭蕉の葉に似ているので、この名が付きました。
水芭蕉(ミズバショウ)
座禅草(ぜんそう)  ざぜん草は、水芭蕉のある所に、わずかにセットでよく見る。水芭蕉と違って、水のない土に生えている。ところが、この花、花を咲かせる際に発熱する珍しい植物です。
 発熱は、肉穂花序(にくすいかじょ)という部分でおこり、その温度は30℃近くにまで達します。驚くべき事に夜間外気温がマイナスにまで下がっても、ざぜん草の肉穂花序は、発熱のよりほぼ25℃近くに保たれます。 時々ざぜん草が咲いている周りの雪が解けていることがありますが、これもざぜん草の持つ高い発熱能力を示しているといえます。 ざぜん草によく似た植物に水芭蕉(みずばしょう)がありますが、ざぜん草のような発熱能力は無いようです。
 ざぜん草の分布は、日本を含む北東アジア、シベリアおよびアメリカ東海岸の一部に限られます。
 日本では達磨大師が座禅をしている姿に見たてて座禅草という名前が付いていますが、アメリカではスカンクキャベツと呼ばれています。
 これはざぜん草の花が、くさいということと、その葉の形がキャベツのはっぱと似ていることに由来します。 ざぜん草が発熱する理由については、その温度と匂いで昆虫を誘い寄せ。受粉率を高めることが挙げられます。
    (白馬ざぜん草園の説明板から)
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